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後の管理においてジルチアゼムの持続静脈内投与などカルシウム拮抗薬の静脈内投与が主に用いられている9)。今回行ったアンケートの結果により、日本において経口摂取ができない状態の外科術後患者に高血圧が認められた場合には90%以上にニフェジピンの舌下が用いられていることが判明した。しかも、約10年前後の外科の臨床経験を持つ者では、術後の虚血のイベントを25%も経験していることがわかった10)。もちろんこの虚血イベントのうち、どれくらいニフェジピン舌下が誘因になったものかは明かでないし、さらに大規模調査を必要とするところである10)。
現在日本では降圧療法に用いられる薬剤の種類はきわめて多い。中でもカルシウム拮抗薬が多種、多数使用されている(図1)11)。日本では安全性が高いと考えられているが、特に高齢者における消化管出血12)や発癌13)に対するリスクが高くなることが報告されており、今後適正使用や副作用防止のため情報収集が益々人切になってくると思われる。

 

D. 今後の展望

 

前述の結果を受け大規模臨床研究に参加の意志がある卒業生を対象に2次調査に入った(別紙4)。折しもアメリカ医師会でもニフェジピン舌下の問題を取り上げ始めた14)。我々の二次調査は1997年3月にまとまりworld wideに報告する予定である。この後ろ向き二次調査で外科手術後のニフェジピン舌下の問題が明瞭になれば、さらに外科手術後の降圧療法においてどのような薬剤をどのような投与経路で行うことが良いのかを前向きに研究して行く予定である。

 

 

 

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